スーツの素材は何が良いの?素材の特徴から知るスーツ生地のおすすめ

この記事で手助けできるお悩み

✔ウール100%のスーツを買った方がいいの?

✔ポリエステルの入っているスーツは粗悪なの?

✔ポリエステル100%のスーツってどうなの?

高機能素材「ポリエステル」だからこそ出来る機能スーツ

スーツには様々な素材が使われていますよね。ポリエステル素材が入っていると良くないのでは?なんて考えはひと昔前!もちろんウール素材が使用されることが多いですが、最近では高機能ポリエステル素材をウールと織り交ぜて1枚の生地に仕上げているスーツも多くなっています。最近のポリエステルは非常に優秀でして・・・ウールよりも伸びて着やすく、お手入れが楽なものも増えています。しかもちゃんと格好イイ。(もちろんブランドによりますが)
最近よく耳にする「洗えるスーツ」「ストレッチスーツ」といった機能系スーツはポリエステル素材を織り交ぜて(時にはポリエステル素材だけで)仕上げていることがほとんどです。
スーツをなかなか着用する機会が少なくなった今だからこそ、大切に選びたい1着の参考になれれば幸いです。

1. 素材の大分類

まずは素材の大まかな特徴の理解が必要です!スーツに使われる素材は大きく「天然繊維素材」「化学繊維素材」に分かれます。
「天然繊維素材」はその名の通り自然界に繊維として存在している素材で、羊さんから取れるウールは動物繊維です。綿花などの植物から取れるのは植物繊維に当てはまります。
「化学繊維素材」は合成繊維素材と再生繊維素材に分かれますが、ポリエステル素材は合成繊維素材です。

1-1 スーツによく使われている天然素材について

●ウール

スーツ生地としては最も代表的な種類です。

特徴
・保温性が高くフワフワ🐑
・伸縮性・吸湿性・保温性に優れている。
・汚れが付きにくく、汚れが落としやすい
・虫も大好物。

糸の細さを表すSuper100SとかSuper110Sとか聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?数字が大きくなるほど細い糸で紡いだ生地ということです。柔らかい上質な生地になりますが、耐久性が下がりますので1~2着で1週間着回してしまう方にはあまり柔らかい生地はお勧めしません。(中2日くらい休ませてあげたい🐑🐑)

●シルク

シルク100%のスーツって私は見たことなですが・・・基本的にはウールと混紡して生地となることが多いです。シルク10%未満の混紡率が普通ではないかと思います。

特徴
・美しい光沢感が奏でる高級感
・繊維1本1本はウールよりも基本的には細く軽い
・1本1本が細い繊維を紡いで出来た生地は柔らかい

●コットン

肌着やTシャツなどで馴染みのある生地かと思います。スーツ生地に採用される場合は「ちょっとしたカジュアル感」を演出したい場合に採用されることが多いです。

特徴
・吸湿性にすぐれる。
・熱に強い。
・肌触りが柔らかい。
・しわになりやすい。
・水洗いによる縮みや色移りなど洗濯物で全国の奥様をたまに悩ませる。

1-2 スーツによく使われている化学繊維について

●ポリエステル

最も代表的な化学繊維生地です。とにかく丈夫で弾力性に富み、今では多くの衣類に採用されています。

特徴
・とにかく軽い
・とにかく丈夫
・しわになりにくい
・吸湿性が低く、汚れが付きやすい

非常に優秀な素材ですが、石油を原料とするポリエステルはイメージが悪い時代がありました。昔は「ポリエステルの入ったスーツ=安物」のようなイメージがあったのです。ポリエステルという表記をしないために、各繊維メーカーが独自の名前を付けて隠したという時代背景もあり、今もその名残はあります。そんな背景がありながら、各繊維メーカーが独自のポリエステルを生み出して世に送り届け続けた結果、とんでもない進化を遂げたポリエステル。今や衣類業界にら無くてはならない存在となりました。

●ナイロン

シャカシャカのウィンドブレカーを想像するのは私だけでしょうか。。ポリエステル同様に化学繊維の代表格です。ポリエステル同様軽く、丈夫です。じゃあ何が違うのか?

特徴
・熱に弱い(タバコで穴が開いたジャンパーとか想像しやすいかと)
・伸縮性が高い
・変色の原因となりやすい(黄ばみ)

など割とデメリットが多く感じますが、伸縮性を出すためにウールと混紡して使われることが多い素材です。

●レーヨン

レーヨンは木材パルプなどを原料とした再生繊維です。シルクの質感を再現するために作られた背景があり、シルク同様に肌触りの良さ、ドレープ感が出て高級感を出しやすいのが特徴です。

特徴
・柔らかく、肌触りが良い。
・水に弱い。
・しわ、縮みの原因となることがある。

2.スーツの表地素材から見る生地の特徴

2-1 ウール100%

スーツに拘りのある方、ファッションが好きな方、昔はブイブイだったご年配の方には絶大の支持を得ているウール100%スーツ。ウールにも様々なランクがありますが、生地の柔らかさ、素材本来の見た目の暖かさ、染色の綺麗さが相まって、仕立ての良さが一目でわかる素材です。今やショッピングセンターに入っているスーツ屋さんではなかなかウール100%は見かけなくなりました。有名な生地メーカーのものだと別格の綺麗さに惚れ惚れします。今日本で有名なところだと、REDA・CANONICO・CERRUTI などでしょうか。メチャクチャ格好イイのですが、ウール100%の生地は決して強度が高いわけではなく、お値段も4万円〜くらいとやや高め。1週間を2着くらいで着回してしまう人にはお勧めはしません。(休ませながら着ないと痛んでしまいます)

2-2 ウール×ポリエステル

こちらが今は一般的です。ポリエステルと混紡することでウールの通気性を残したまま、生地の耐久性が上がるので、湿度の高い日本では相性の良い素材です。また、素材と製法の進化により、「洗えるスーツ」という分野が開拓されているのも注目ポイントです。お値段もウール100%と比較するとコスト面でメリットが出ます。最近のスーツはポリエステルが入っていることを感じさせないほどに柔らかく、着やすいものが増えました。着やすくて、お手入れ簡単で、リーズナブル。この三拍子が今のスタンダードの根源だと思います。

2-3 ポリエステル100%

今やポリエステルだけで作られたスーツが市場には割と出回っています。前述したようにポリエステル素材の進化により、「動きやすく、お手入れが楽で、リーズナブルな」ポリ100%スーツは年々人気になっています。作業着メーカーが作るスーツも最近見かけますね。ウールを混紡しないことで大幅にコストが下げられることも相まって、お値段も相場より低くなることが多いことも人気の理由です。私個人はポリ100%はスーツというよりは少しカジュアルにセットアップで着用します。サイズ感が合えば全然恰好よく着用できるのおすすめです!何よりお手入れが楽で軽いですのでストレスフリーなのが嬉しいですね。

3. 結論 

3-1 拘りの1着ならブランド生地のウール100%!

先ほど例にあげたように、ウール100%はその上質さが1番の売りです。見た目にも明らかに差がでます。
奮発して作る1着なら拘って作ることをお勧めしますし、今はオーダーなども安く作れるのでオーダースーツという視点も持ちやすい素材だと思います。

もちろん、インポートと呼ばれるREDA・CANONICO・CERRUTIなどのブランド生地メーカーを狙って探すと選択しはそんなに多くないのではないかと思います。

元も子もない言い方ですが、着ればわかる素材の良さが確かにあり、お値段なりだと私は思っています。
ただ前述したように毎日着るけど、1~2着で回しているような方には耐久性が気がかりなのでお勧めしません。
最低でも週に1回程度の出番に着用させる1着として作ることをお勧めします!

3-2 機能性重視ならポリエステル混紡スーツを!

現代では割と重要視される「洗えるかどうか?」という視点とスーツ本来の格好良さという2つの軸を満たすならこの1択。むしろ何も考えずにお好みのスーツを選べばウール×ポリを勝手に選ぶ結果になると思います。なぜならこの混紡が現代のスタンダードであり、肌感覚ですが市場の7割くらいを占めてる?のではないかと思います。
ただ、2022年を越した今、「洗える」仕様も入れず、ポリエステルの混率が50%より高く、生地の厚みがないスーツ(ぺらっとしてる)スーツはお勧めしません。さらに加えると伸縮性がなく、肩パッドが厚くて動き難いスーツもお勧めしません。化学繊維の良さを活かさず、ただのコストダウンに使っているからです。

3-3 お値段重視ならポリエステル混紡率の高いスーツを!

基本的にはしわになり難く、ストレッチ性があってきやすいスーツになっているはずです。ウールと比較するとコストが下がることが多いですが、WWS(ワークウェアスーツ)さんのように耐水性・強度を売りにポリ100%を中心に展開しているブランドさんもあるので、必ず安いわけではないです。ただ、大手量販店でのポリ100%のスーツは割と相場より安くなっていることが多いですので、とりあえず間に合わせの1着という意味ではこちらもいいのではないでしょうか?

考察

経験則で独自の見解が多いですのであくまで参考程度にとどめていただければと思います。特に最近はポリエステルが素材の進化が目覚ましく、着用感・シルエット・お手入れの楽さなどからかなり主力素材となっておりますので、「ポリエステルが混ざってるからって一概に悪いことはないんだよ!」ということが伝わっていただけると嬉しいです!